(仮訳)ケン・ローチ:「もし怒りを感じていないとしたら、あなたは一体どんな類の人間なんですか?」⑨/10

Ken Loach: ‘If you’re not angry, what kind of person are you?’

*留意点*
  • 初めてこのブログを読まれる方は↑TOPメニューの「¿(仮訳)?」も併せてお読みください。
  • 映画等作品名表記について:日本劇場公開作は『』で表記、未公開作は原題を<>で、(DVD等)邦題があるものについては邦題を『』で、ないものは日本語訳を「」で併記しています。
  • 「※」付きの説明は訳者註です。
  • 文中のリンクは「※」付き以外は全て元記事と同じリンクです。

(仮訳)ケン・ローチ:「もし怒りを感じていないとしたら、あなたは一体どんな類の人間なんですか?」⑧からの続き
今、私は『リフ・ラフ』に登場する裸のニッキー・トムリンソンの写真をじっと見つめている。トムリンソンは建設現場労働者の役で、写真は、彼が働く高級マンションが並ぶ地域の一室に忍び込み、シャワーを浴びてちょうど出てきた場面のものだ。ローチ映画にはいつも、登場人物が権力に二本指を立てる(※アメリカでの「中指を立てる」と同義)場面が出てくるようだ―<トムリンソンが尻をみせる>か<ダニエル・ブレイクが職安の壁に自分の名前を落書きする>かという形の違いはあれ。「どちらの方がレジスタンスのシンボルとして影響力があるかは五分五分ですね」ローチは言った。「リッキー・トムリンソンの尻かダニエルの落書きか?民衆はやり返します。従順な犠牲者ではないのです。右翼のアートや、映画、本とかいったものの中では、貧しい者は犠牲者として描かれます。それがチャリティーのやり口というものです―領主のご婦人がクリスマスに言って回っているでしょ:『貧しい人たちはいつも私たちと共にあります。社会体制は変わらないのだから私たちは貧しい人たちに親切にしなければいけません。』って。左翼の政策では貧困とは階級社会の副産物であり、民衆はそれに抵抗するのだと言っています。そしてその抵抗運動こそ私たちが評価し、表現し、讃えたいものなのです。ですから、ダニエル・ブレイクは懇願者ではないのです。彼は気高い人間なのです。」

彼はいたずらっぽく微笑んだ。「『ガーディアン』の対抗紙として『モーニング・スター』を読んでみれば、実際に行動している人々の話が次々と毎日毎日出てくるのがわかりますよ。たとえば、ダーラムの補助教員の件なんて、長年かけて取材された報道です。彼らは、賃金カットされた上に仕事から追い出されるなんて受け入れられるわけないと言っています。」

ここ数年、ローチはリスペクトレフト・ユニティーなどといった、労働党に替わる政党として現れた団体で活動してきた。(30年間労働党員として過ごした後、トニー・ブレアに憤慨し離党したのだ。)労働党副党首のトム・ワトソンが彼の党にトロツキストたちが侵入してきたと最近不満を漏らしていたが、それはローチ達を指すのだろうか?「ええと、私はまだ労働党員ではないですよ!」彼はまだレフト・ユニティー党員だ。「でもジェレミー・コービンが党首に就任してからは、選挙で候補者を立てていません。労働党に反対する立場ではないのです。」レフト・ユニティーを離れて、労働党に戻ることは考えていないのだろうか?「可能性はあります。大きな議論がこれから起きていく場所はそちらですからね。そしてジェレミー・コービンは私が50年以上支持し続けてきたことをやろうとしているのですから。」

(仮訳)ケン・ローチ:「もし怒りを感じていないとしたら、あなたは一体どんな類の人間なんですか?」⑩へ続く

※元記事:
https://www.theguardian.com/film/2016/oct/15/ken-laoch-film-i-daniel-blake-kes-cathy-come-home-interview-simon-hattenstone

back to
top