(仮訳)ケン・ローチ:「もし怒りを感じていないとしたら、あなたは一体どんな類の人間なんですか?」⑩/10

Ken Loach: ‘If you’re not angry, what kind of person are you?’

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(仮訳)ケン・ローチ:「もし怒りを感じていないとしたら、あなたは一体どんな類の人間なんですか?」⑨からの続き
コービンへのよくある批判に、彼が政権を取ることよりも自分達の運動を大きくすることにばかり関心を持っているということがあると私が言うと、「そんな批判はナンセンスです」と答えた。ローチいわく:運動が力強くなればなるほど、選挙で勝つチャンスも大きくなるのだそうだ。「運動でなければならないのです。ただの選挙装置ではないのですから。それこそがブレアと取り巻き連中が決して理解せずやろうともしなかったことです。彼らはただ自分達に派閥としての権力を与えてくれる装置が欲しかっただけなのです。労働運動とは積極的に民主的プロセスに携わる広範な人々の集合体のことなのです。」60年代を振り返れば、彼によると、当時はただ小さなグループがそれぞれに仲間内で話していただけだった。今、こんなに多くの人々が議論に参加していることをローチは好ましく思っている。

政治情勢が彼に新しい労働欲を与えたようだ。2013年にレベッカ・オブライエンはローチが最後の長編映画を作り終え、その後はドキュメンタリー制作に特化していくことになるだろうと示唆していた。その3年後、引退の話はすっかり消え去っていた。「何気なく言っただけなんです。」ローチは息を吸い込んだ。「それが海外でどんどん広まってしまったんですよ。」

なぜこんなに沢山の映画監督が元気でい続けられるのだろうかと私が尋ねると、「映画を作り、それを発表し、人々に観てもらえるということは、とても大きな特権なのです」と答えた。シナトラのように、しょっちゅう引退表明してはまた復帰を繰り返すなんてことはしないのだろうか。「いえいえいえいえ、そんなこと言うのはやめましょうよ。」80歳は完璧に分別のつく年齢だ。だから、肉体的に可能な限り彼は映画を作り続けるのだろう。老いを実感することはあるのだろうか?「朝起きた時は85歳くらいの気分です。」彼はニヤッとした。「でも美味しいコーヒーを飲んだ後は、79歳になります。今はみんな長生きでしょ?歳のことなんてあんまり考えたいと思いません。ただペダルをこぎ続けるだけです。」

※元記事:
https://www.theguardian.com/film/2016/oct/15/ken-laoch-film-i-daniel-blake-kes-cathy-come-home-interview-simon-hattenstone

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