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それ以降、彼は次々と映画を撮り続け、数々の映画祭で受賞し続けている。どの映画も、低予算で、イギリスやヨーロッパ各国から寄せ集めた資金で作られているが、その根底には理念がある;スペイン内戦(『大地と自由』)からニカラグアのサンディニスタ革命政権に対するコントラの反乱(『カルラの歌』)、アメリカの労働組合の権利問題(『ブレッド&ローズ』:北米大陸で作られた唯一のローチ映画)からアイルランドの独立戦争(『麦の穂をゆらす風』)に至るまで。そして、とりわけ、労働や尊厳、公正さへの闘争(『レイニング・ストーンズ』、『SWEET SIXTEEN』、『この自由な世界で』、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』、『天使の分け前』など、基本的に全ての作品)といったものが顕著だ。ローチは(イアン・ハート、ピータ・マラン、キリアン・マーフィー等)スター俳優を起用することもあるが、ほぼ一人一度きりだ。彼は新参者の役者の方を好む:世間に顔を知られていない方が物語の信憑性が増すからだ。彼が起用した有名人のエリック・カントナは、『エリックを探して』でタイトル役を演じたが、これは魔法のようなリアリズムの世界に一度限り出現する彼自身を演じたので、例外ということになる。
ジム・アレンが亡くなってからは、ローチ映画の脚本は殆どポール・ラヴァティが担当している。ローチが嫌々開く数少ないパーティー(彼の70歳の誕生会と今年前半にあった80歳の誕生会)で、プロデューサーのトニー・ガーネットや脚本家のロジャー・スミスといった彼の昔の仲間達と現在のスタッフが一堂に会した。彼が言うように、ローチは友人たちや家族とめったなことではケンカしないのだ。
事務所のマントルピースの上にはカントナの一本眉のお面と、『わたしは、ダニエル・ブレイク』に出てきた3本足の犬の写真、それに彼が受賞した2つのパルム・ドール(初受賞は『麦の穂をゆらす風』)があった。その上には赤い犬の首輪が飾ってある。私がそれは何かと尋ねると、ローチは笑いながら言った:「パルム・ドッグです。映画に出ている中で一番印象的だった犬に与えられる賞です。3本足の犬たちへの功労賞を貰ったのです。」
※元記事:
https://www.theguardian.com/film/2016/oct/15/ken-laoch-film-i-daniel-blake-kes-cathy-come-home-interview-simon-hattenstone
