(仮訳) ケン・ローチ:ブレア、ブラウンやニュー・レイバーの犯した罪をコービンに着せるな ①/3

Don’t blame Corbyn for the sins of Blair, Brown and New Labour

*留意点*
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  • 2017年2月23日のイギリス下院議員補選(ストークオントレント・セントラルとコープランドの2議席)を受けてのローチによる「意見欄」掲載文です。労働党はストークではUKIPに勝利しましたが、牙城のコープランドで保守党に敗北し、コービンへのバッシングが加熱していた中で書かれたものです。6月の総選挙を経た今振り返ると、なかなか感慨深いものがあるかと思います。
  • ブレアに代表される「ニュー・レイバー」についての説明は、検索で色々出てきますが、お急ぎの場合は→こちらが簡潔かと思います。
  • 「※」付きの説明は訳者註です。
  • 文中のリンクは「※」付き以外は全て元記事と同じリンクです。

衰退の一途をたどるイギリスのあちこちの地域で、民衆はジェレミー・コービンの政策を支持している。ではなぜ国会議員たちはそれを推進していかないのだろうか?

先週のストークとコープランドにおける補選以来、怒涛のごとく噴出するジェレミー・コービンへの辞任要求は、あらかじめ計画済みで想定内のことだった。そこには、メディアのいうところの政治課題はよく表れているが、市井の人々が本当に必要としている事柄や日々経験する事柄については全く示されていない。

投票日の数日前に、私はカンブリアのストークとホワイトヘイヴンへ行った。モメンタム(※Momentum:若者中心に運営するコービン支持の草の根運動団体)『わたしは、ダニエル・ブレイク』の上映会を開催したのだ。その時、私たちはさびれた地区の労働党の分会を数か所訪ねた。どこも中心部から離れた古い住宅街にある。ある分会で私は訊かれた:「なんでこんなところに来たんですか?こんなところ誰も来ないですよ。」

主催者のジョー・ブラッドリーとジョージー・ロバートソンは労働党員の鑑といえる働きぶりだった:はつらつとして、勤勉で、素晴らしく手際が良いのだ。参加者全員に気さくに挨拶し、上映用機材チェックを済ませ、地元の支援者席を設けて、地元の人々が自分たちのイベントなのだと感じ、自分たちの声が届いているのだと感じられるような場を作っていた。これこそが、労働党が再び結束するためにとるべき方法だ。

上映会は両方とも満員だった。討論会は白熱し、詳細にわたり、また活気に満ちたもので、公開討論の使い古された決まり文句などとは全くかけ離れた世界だった。それはマーケティングの実践練習ではなく、人々と、その人々の関心事についての本物の意見交換の場だったのだ。

歴代労働党政府―そして、重要なことに、労働党議員たち―の失敗は、共通の話題だった。ストーク周辺が無視されてきたことは明らかだ。労働党の固い地盤であることは確かだが、彼らに何か利益はあっただろうか?この地域についての2015年の報告によると、6万人が貧困状態にあり、3千世帯が慈善事業の食糧援助に依存し、2千5百万ポンドの住民税が未納だという。BNP(※イギリス国民党:極右政党)―現在はUKIPに取って代わられている―の存在感はいかに労働党の失策が極右に台頭の余地を与えたかを表している。

コープランドでも話は似たようなものだった。あらゆる産業が見捨てられていた―鉄鋼も、炭鉱も、化学工場も―それに取って代わる産業も全く無いままに。この点について労働党は保守党と同等に有罪であるとみなされている。コープランドには反体制票というものがあり、労働党はここでは体制側ということになるのだと聞いた。それはトニー・ブレアやゴードン・ブラウン、そして前議員のジャック・カニンガムやジェイミー・リードに対する反対票なのだ。

この2つの選挙区の労働党候補者は、どちらも党の左派には属さないが、この集会に招待されていた。しかし、2人ともそれを無視した。テレビ、ラジオや報道の取材もあったのに、これはおかしなことだ。モメンタムが主催者だったからだろうか?労働党を応援するための集会だというのに。返事をよこすという礼儀すらなかったのだ。

(仮訳) ケン・ローチ:ブレア、ブラウンやニュー・レイバーの犯した罪をコービンに着せるな ②へ続く

※元記事:
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/feb/28/dont-blame-corbyn-sins-blair-brown-new-labour

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