Don’t blame Corbyn for the sins of Blair, Brown and New Labour
(仮訳) ケン・ローチ:ブレア、ブラウンやニュー・レイバーの犯した罪をコービンに着せるな ①からの続き
では、具体的な質問をしていこう。人々が直面している大きな問題とは何だろうか?労働党指導部の分析や計画とは?なぜ労働党は人気がないようにみえるのか?党の分断の責任は誰にあるのか?
問題点は繰り返し指摘されているが指導部の問題と関連付けられることは殆どない。弱い立場にある労働者階級は、雇用不安や、低賃金、みなし「自営業」、ワーキング・プアを含む多くの人々の貧困や、地域全体が廃れるままに放置されているといった問題を実感しているが、それらは保守党とニュー・レイバーの自由市場経済政策の結果引き起こされたのだ。雇用主にとっての「柔軟性」とは労働者の搾取なのだ。公共サービスは分割され、外注され、廃止され、富の源泉は少数の支配者が手にし、その他大多数の人々には疲弊し衰退した社会があてがわれる。問題の中心にある事実は際立って明らかだ:ブレア、ブラウン、そしてピーター・マンデルソンの時代こそがこの衰退の根幹をなす。だからこそ、労働党員はジェレミー・コービンを党首に選出したのだ。
コービンと影の財務相ジョン・マクドネルはこれまでとは違う分析を行い、これまでとは異なる政策を提示した。市場というものは、大多数の人々に安全で尊厳ある暮らしを与えることは決してない。需要があったとしても、そこに利潤が伴わなければ、その需要に応えることはない。連帯し共同すれば、我々は安全な未来を計画し、新しい技術を皆の利益の為に使い、全ての地域を実体のある産業で再建し、公共サービスと市民生活の質を再構築することができるのだ。それは社会変革への構想であり、我々が直面している、むごく、分断され、困窮した社会に対する拒否表明であるのだ。
コービンの政策はこの改革のはじまりとなるだろう。それは、見捨てられ荒廃した地域に適正賃金による雇用を生む公共投資にはじまり、個人負担の無い保健サービスの提供に続く。そこでは、清掃員から部長・局長に至るまで直接雇用し、民間委託業者を追い出し、ニュー・レイバーが愛して止まないPFI(※)の大失敗を解決する。ホームレス問題を解決するためには公営住宅を拡充し、綿密な計画を経た持続可能なコミュニティーを作る。そして、公共交通は公営に戻し民営化の大混乱に終止符を打つ。人々が抱える問題はしっかりと把握され、それらを解決し社会を再建する構想もよく練られているのだ。財源は?大富豪に課税して不平等を是正する。さらに付け加えると、私の昔の労働党員証に書いてあるように、全ての人が「労働の成果をすべて享受」できるよう経済も根本的に変わる必要がある。
皮肉なことに、これらの政策は人気がある。メディア改革連合(※Media Reform Coalition:民主的で公正な報道の改革を目指し活動する市民団体・専門家・個人からなる組織)による最近の世論調査では、NHS(※National Health Service:国営医療サービス制度。「国民健康サービス」と訳されることが多いが、ここでのNationalは国営を指す)に民間企業が関与することに58%が反対し、51%が鉄道は公営にすべきと答え、公共政策への支出増と最富裕層への増税を45%が支持している。労働党議員がこの計画を推進しているという話を聞かないのはなぜだろうか?影の内閣入閣を拒んでいるお偉方はなぜだんまりを決め込んでいるのだろうか?彼らはこの政策を拒絶し、ニュー・レイバーの民営化と緊縮の政策の方を選ぶのだろうか?それともコービンとその支持者を孤立させるために沈黙を続けるのだろうか?
(仮訳) ケン・ローチ:ブレア、ブラウンやニュー・レイバーの犯した罪をコービンに着せるな ③へ続く
※元記事:
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/feb/28/dont-blame-corbyn-sins-blair-brown-new-labour
*留意点*
- 初めてこのブログを読まれる方は↑TOPメニューの「¿(仮訳)?」も併せてお読みください。
- 2017年2月23日のイギリス下院議員補選(ストークオントレント・セントラルとコープランドの2議席)を受けてのローチによる「意見欄」掲載文です。労働党はストークではUKIPに勝利しましたが、牙城のコープランドで保守党に敗北し、コービンへのバッシングが加熱していた中で書かれたものです。6月の総選挙を経た今振り返ると、なかなか感慨深いものがあるかと思います。
- ブレアに代表される「ニュー・レイバー」についての説明は、検索で色々出てきますが、お急ぎの場合は→こちらが簡潔かと思います。
- 「※」付きの説明は訳者註です。
- 文中のリンクは「※」付き以外は全て元記事と同じリンクです。
では、具体的な質問をしていこう。人々が直面している大きな問題とは何だろうか?労働党指導部の分析や計画とは?なぜ労働党は人気がないようにみえるのか?党の分断の責任は誰にあるのか?
問題点は繰り返し指摘されているが指導部の問題と関連付けられることは殆どない。弱い立場にある労働者階級は、雇用不安や、低賃金、みなし「自営業」、ワーキング・プアを含む多くの人々の貧困や、地域全体が廃れるままに放置されているといった問題を実感しているが、それらは保守党とニュー・レイバーの自由市場経済政策の結果引き起こされたのだ。雇用主にとっての「柔軟性」とは労働者の搾取なのだ。公共サービスは分割され、外注され、廃止され、富の源泉は少数の支配者が手にし、その他大多数の人々には疲弊し衰退した社会があてがわれる。問題の中心にある事実は際立って明らかだ:ブレア、ブラウン、そしてピーター・マンデルソンの時代こそがこの衰退の根幹をなす。だからこそ、労働党員はジェレミー・コービンを党首に選出したのだ。
コービンと影の財務相ジョン・マクドネルはこれまでとは違う分析を行い、これまでとは異なる政策を提示した。市場というものは、大多数の人々に安全で尊厳ある暮らしを与えることは決してない。需要があったとしても、そこに利潤が伴わなければ、その需要に応えることはない。連帯し共同すれば、我々は安全な未来を計画し、新しい技術を皆の利益の為に使い、全ての地域を実体のある産業で再建し、公共サービスと市民生活の質を再構築することができるのだ。それは社会変革への構想であり、我々が直面している、むごく、分断され、困窮した社会に対する拒否表明であるのだ。
コービンの政策はこの改革のはじまりとなるだろう。それは、見捨てられ荒廃した地域に適正賃金による雇用を生む公共投資にはじまり、個人負担の無い保健サービスの提供に続く。そこでは、清掃員から部長・局長に至るまで直接雇用し、民間委託業者を追い出し、ニュー・レイバーが愛して止まないPFI(※)の大失敗を解決する。ホームレス問題を解決するためには公営住宅を拡充し、綿密な計画を経た持続可能なコミュニティーを作る。そして、公共交通は公営に戻し民営化の大混乱に終止符を打つ。人々が抱える問題はしっかりと把握され、それらを解決し社会を再建する構想もよく練られているのだ。財源は?大富豪に課税して不平等を是正する。さらに付け加えると、私の昔の労働党員証に書いてあるように、全ての人が「労働の成果をすべて享受」できるよう経済も根本的に変わる必要がある。
皮肉なことに、これらの政策は人気がある。メディア改革連合(※Media Reform Coalition:民主的で公正な報道の改革を目指し活動する市民団体・専門家・個人からなる組織)による最近の世論調査では、NHS(※National Health Service:国営医療サービス制度。「国民健康サービス」と訳されることが多いが、ここでのNationalは国営を指す)に民間企業が関与することに58%が反対し、51%が鉄道は公営にすべきと答え、公共政策への支出増と最富裕層への増税を45%が支持している。労働党議員がこの計画を推進しているという話を聞かないのはなぜだろうか?影の内閣入閣を拒んでいるお偉方はなぜだんまりを決め込んでいるのだろうか?彼らはこの政策を拒絶し、ニュー・レイバーの民営化と緊縮の政策の方を選ぶのだろうか?それともコービンとその支持者を孤立させるために沈黙を続けるのだろうか?
※元記事:
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/feb/28/dont-blame-corbyn-sins-blair-brown-new-labour