"Sorry We Missed You" 『家族を想うとき』 2019年カンヌ国際映画祭記者会見 ④/7

登壇者(発言時表記): ケン・ローチ(KL) / レベッカ・オブライエン(ROB) / ポール・ラヴァティ(PL) / クリス・ヒッチェン(KH) / デビー・ハニーウッド(DH) / リース・ストーン(RS) / ケイティ・プロクター(KP)

SORRY WE MISSED YOU - Press conference - Cannes 2019
with Henry Béhar moderator / Rebecca O’Brien producer / Rhys Stone actor / Katie Proctor actress / Kris Hitchen actor / Ken Loach director / Debbie Honeywood actress / Paul Laverty screenplay / Robbie Ryan cinematography

*留意点*
  • 初めてこのブログを読まれる方は↑TOPメニューの「¿(仮訳)?」も併せてお読みください。
  • 今回は記事の翻訳ではなく、記者会見の動画(音声)聞き起こし→粗訳という形になり、聞き起こしの時点で拾いきれない言葉もあり、より意訳傾向が強くなっています。そのため、タイトルにも「(仮訳)」をつけませんでした。(もう少し細かい話が気になる方は→こちら
  • ()内は訳者註です。また、質問者、その他用語についての参考リンク等がある場合は「☆」で表記しています。
  • "struggle"という単語(動詞/名詞)が繰り返し使われていますが、和訳では文脈で言葉を変えているため、元の単語がそれとわかるよう「★」をつけています。
  • 特に聞き取りに自信のない箇所については「*」と共にその旨記載しています。
  • 各埋め込み動画は該当箇所から始まるよう頭出ししたものです。
Sorry We Missed You" 『家族を想うとき』
2019年カンヌ国際映画祭記者会見 ③へ戻る
23:53

司会: 次の質問は

質問者Sarah (多分Sarah White): こんにちは、『ロイター』のサラです。今の話の続きになるかと思いますが、ケンさん、あなたは未来がどうなるかについて語っておられました。このような力強い映画なら、反対側の立場にいる人を引き寄せられるのでしょうか?あなたは意見の二極化についても話しておられましたが、どうすればこういった状況を、極右や極左に分かれてしまった人々を、元に戻せるのでしょうか?
 そしてイギリスについていえば今私たちはBrexit(EU離脱)問題に直面しています。どうお考えですか?現実として状況は好転する前に悪くなると思われますか?社会を変えるという点において、このような映画が現実の世界に影響を与えることができるのでしょうか?

KL: ええと、この映画はコーラスの中の1つの声に過ぎません。本当に、映画の力などと大げさに言うべきではありません。『わたしは、ダニエル・ブレイク』は脆弱な立場にある人々に国が与えるべき支援についての話でしたが、幸運なことにここ(カンヌ)で多くの方に支持されみなさん寛大に受け入れてくださりました。でも(英国)政府は微動だにしませんでした。今も状況は残酷なままで、彼らは人々の飢えを武器として利用しているのです。慈善事業であるフードバンクが食べることのできない人々の食を賄っているのです。彼らはあなたがたがスーパーの寄付箱に缶詰を置いていかない限り食べることができないのです。フードバンクに頼る人はどんどん増えています。去年だけでも18%増えました。1年に18%ですよ。私たちがあの映画を作ったのは3年前です。ですから政府が変わることはないでしょう。変わりようがないのです。自分自身の面倒をみることができないのは犯罪だと示したいのですから。政府はそれを示さなければならないのですから変わりようがないのです。
 それから、あなたの質問には心から敬意を払いますけれど、極右と極左がいるとおっしゃいましたが、私には極左がいるようには見えないのです。どこにいるんでしょうか?この中にどなたか極左党の党員の方いらっしゃいますか?見たことないんですけど。フランスにはいるんですかね?極右ならよく見ますよ。極右は人々の怒りや不満や疎外感を糧にどんどん大きくなっています。そして勿論奴らはその矛先をあなたのすぐそばにいる最も貧しい人に向けるのです。非難の標的となる人は、外見の違う人かもしれないし、外国から来た人かもしれません。そういった人を責め立てるのです。不安定雇用や人々の怒りという肥やしをしっかり鋤き込んだ土壌で奴らは成長してきたのです。そいう地盤から奴らは出てきたのです。もしも私たちがこれを放置していれば、極右はますます大きくなるでしょう。このままでは人々はより怒り、より絶望し、より恐れを抱くことになりますから。極右は恐怖を糧に成長するのです。左派は信頼を糧に成長します。人々が信頼や自信を持つことができたなら、「そうだ、私たちには状況を変えられる!一緒にやろう!私たちには力がある、自分たちでできるんだ!」と言えるのです。右派はその逆です。恐れや不安定さや心配につけ入って安易な解決策で人を引き付けるのです。これが私たちの直面する危機です。まったく大変なことですがこれをどうにかしなければ。

ROB: それと、「完全雇用」という言葉に騙されないでください。「完全雇用」にはリッキーやアビーのようなゼロ時間契約の人も含まれるんです。ゼロ時間契約は自分自身や家族を壊してしまいます。だから右派の「何もかも上手く行っている。みんなが仕事を持っているじゃないか」という言葉に騙されないでください。

DH: 親が働いている家庭の子供の4人中3人が貧困状態にあります。そのことが現実を示していますよね。


※※⑤⑥はネタバレを含みます!!※※
↓↓↓そのまま読む方は↓↓↓
"Sorry We Missed You" 『家族を想うとき』
2019年カンヌ国際映画祭記者会見 ⑤へ続く

↓↓↓読みたくない方は↓↓↓
"Sorry We Missed You" 『家族を想うとき』
2019年カンヌ国際映画祭記者会見 ⑦へ飛ぶ


back to
top